◆エミリー・ローズ(120分)
おススメ度
「1,2,3,4,5,6!凄まじい演技だよう」
エクソシストじゃありません。法廷ドラマとしても普通…?
 ショッキングな実話をモデルにした法廷サスペンス・ホラー。悪魔にとり憑かれたという女子大生が悪魔祓いの儀式の末、非業の死を遂げます。そして儀式を行った神父が殺人罪で起訴されます。
 前宣伝では「悪魔は本当にいた!」というのがテーマのように受け取れましたが、この話はホラーではなく、第一の舞台は法廷。また法廷での論点も、「被害者はあくまで(あ、ダジャレ?)精神病だった」という立場で医学的措置を怠ったことを追及する検事に対し、神父についた女性弁護士の立場は「被害者は悪魔憑きだった!」ではなく、「被害者は精神病ではなかった可能性があり、医学的措置では治癒しなかった可能性がある」というもので、極めてマトモなお話です。
 ところが、
マトモな話の中に中途半端なホラーを盛り込んでしまったところが厄介な点。ホラーがエミリーの話つまり過去においてだけでなく、裁判中にも現在進行形で見え隠れします。これはオカルトを見たいという観客に対して外せない脚色だったのかもしれませんし、悪魔を信じている神父の身の上には引き続きホラーが降りかかっても齟齬はきたしませんが、問題は女性弁護士。彼女の身の上にも、午前3時の恐怖とか、目の前での人の怪死とか、現在進行形の恐怖体験を盛り込んでいます。そのくせ、涼しい顔をしてマトモな弁護士業務を続けているところに、このキャラはどうもリアリティがないと感じさせられます。なかなか素敵な弁護士さんだったのに…。
 最終弁論はやや見ごたえがありますが、想定内といえば想定内。米国裁判の実情は知らないものの、「そりゃ、その論法しかないでしょう」と思われる程度のもので、予想を超える舌鋒が見られるというほどでもありません。 陪審員の心を動かす論戦の妙というのは既にアメリカのTVドラマでさえも質の高いものを提供してくれている訳で。なので楽しませてはもらいましたが★3つ。
 ただし、
エミリー役の女優さんの鬼気迫る演技には更に★1個プラスするだけの値打ちがあります。その晩はベッドの下などが気になり、絶対に午前3時には目が覚めませんように…と祈りつつ就寝。冗談でも「123456」とは口にしたくありませんでした。
 しかし実際に身内があんな恐ろしい状態になった時、最後まで見捨てずに付き合う家族や友人っていうのは…信心深い人間でないとできないかもしれません。宗教っていうのは人の心をかたくなにもしますが、時には強くすることもあるんですねぇ。それにしてもエミリーの悪魔憑きを信じたとしても、キリスト教の神様は悪魔と協力して人間をもてあそんでいるようにしか見えませんね…。