◆フラガール(122分)
おススメ度
「夢に向かって1つになる!」
時代に立ち向かう家族愛、師弟愛、友情にホロリ。
 昭和40年、福島県の閉山寸前の炭鉱町を再生すべく持ち上がった、「常磐ハワイアンセンター」オープン計画。心も体も炭鉱に生きている旧世代グループと対立しながらも、新しい夢に向けて命を輝かせる女性たち…フラガールの姿は感動的です。テーマ自体は地味なはずなんですが、見事なフラの演技をはじめ、俳優陣の熱演が光って見ごたえのある作品に仕上がっています。あの南海キャンディーズのしずちゃんすら、本当にただのデカブツな炭鉱娘に見えてきます。さすがに日本アカデミー賞やキネマ旬報1位に輝いただけあります。
 若者達が青春してる姿もさることながら、もっとハッとさせられるのは
人の心が何かに響いて変化する瞬間。フラの講師である松雪泰子は炭鉱娘たちのひたむきな姿に触れて情熱を取り戻し、炭鉱娘は初めて見る松雪の美しいダンスに心を奪われて夢を抱く。そんな彼女らが炭鉱町の人々の頑なな心をも溶かして巻き込んでゆく。最も素晴らしかったのはは蒼井優演じる紀美子の母親でした。子を想う親の姿っていうのは、もう反則技ですねぇ〜、確実に涙を誘いますから。
 残念なのは作品ではなく、テンポのはやーい娯楽アクション大作に慣れきって、またそれが大好きでもある自分自身。どうにも、本作のテンポが遅く感じてしまうのです。女性達の泣いている顔がゆーっくりと間をとって大映しになっているシーンを見ていると、フッとシニカルな現実感覚が戻ってきてしまう。しかも、そういう場面の随分多かったこと。現実には、人のそういう感極まった顔をジロジロと直視するような機会はまずないし、そういうことができる性格でもないので、どうにも
居心地が悪い気分になってしまいました。お涙頂戴が嫌いな訳ではないのですが、露骨すぎて。こんなの、私ぐらいでしょうかね?
 なお、国内のハワイをコンセプトとした娯楽施設といえば…陳腐なイメージしか浮かばなかったのですが、本作鑑賞をきっかけに常磐ハワイアンセンター(今の「スパリゾートハワイアンズ」)のウェブサイトをチェックしてみると、時代に合わせた増改築がなされておりなかなか楽しそうな施設になっていました。ギネスにも載った世界最大の露天風呂があるらしい! なにより、開設当初、親の世代の人々の勇気と希望を一身に受けて完成した場所だと思えば、感慨も深まります。ぜひ、いつまでも日本中の人々に親しまれる施設としてガンバッテほしいと思いました!